【ADI2039】マインドハッカー 第3話「マインドハッカー」

第一幕 その週末、街は静かに壊れ始めていた。 土曜の朝、ミナがスマートフォンを開くと、ニュースアプリの速報が三件並んでいた。 『会社員男性、同僚を刃物で切りつけ逃走』 『主婦、隣人宅に放火未遂 動機不明』 『高校生、駅のホームで見知らぬ乗客を突き飛ばす』 一見、無関係な事件だった。年齢も、性別も、住んでいる地域もばらばら。犯人同士に面識がある形跡もない。だが、ミナの... 続きを読む

【ADI2039】マインドハッカー 第2話「私は私ではない」

  第一幕 大学の学食で、その噂を最初に耳にしたのは偶然だった。 ミナは友人と昼食を取りながら、隣のテーブルの会話を聞くともなしに聞いていた。「――だからさ、高橋のやつ、マジでヤバいんだって」「え、何があったの」「自分の名前、否定してるらしいよ。高橋って呼ばれると、キレるの」 ミナの箸が止まった。 「高橋はもう死んだ」――そう周囲に言い放ち、別の名前で呼ばせよう... 続きを読む

【ADI2039】マインドハッカー 第1話「YESボタン」

【ADI2039】マインドハッカー 第1話「YESボタン」   第一幕 教室の空気が変わったのは、五時間目の途中だった。 白石ミナは黒板の数式をノートに写しながら、ふと視線を上げた。教壇に立つ神谷の横顔が、いつもと違う角度で固まっていた。神谷は数学教師で、生徒からの人気も高い。冗談を交えながら板書し、質問には嫌な顔ひとつせず付き合う――そんな男だった。 ... 続きを読む
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